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2009/09/15
スイーツ王国さっぽろ。いずれは観光ブランドとして全国から食を楽しんでもらうことだけに限らず世界中からパティシエが集まる街に変貌する可能性がある札幌。創業した東札幌の地に感謝の意を込めて札幌市が行っている「さぽーとほっと基金」に商品の1%寄付を始めた「きのとや」社長の長沼昭夫氏にお菓子をとおしたまちづくりの想いを聞いた。
創業、そして日本一へ
大学を卒業して農業をやり、その後居酒屋の店長やスーパーで販売をしていました。サラリーマンを続けるか迷っていましたが、義父が東札幌(現在の白石店)にテナントビルを持っていて、ケーキ屋さんを募集していたのがきっかけで独立することに。喫茶店を開く感じで店長を置いて、赤字にならなきゃいいなという軽い気持ちで始めたのが1983年。お菓子の知識も人脈もない。ましてやケーキを作った経験なんて全くない。無知な世界からのスタートでしたが、それまでの仕事で共通していたのは食べ物。いつも最高の品質でおいしい物を提供することは同じはず。今思えば、それらが全部生かされていたからこそ出来たのではないかと思っています。
しかし、最初はお客さんが全く来ない。このままではつぶれるという危機感から予約を取ることにしました。ケーキ屋は見込み生産で売れないと捨てるしかない。受注生産ならロスがなくなる。そこでバースディケーキの予約を取りに営業で周りました。それでもなかなか売れない。さらに考えてお客様の希望日に配達することに。その結果が、札幌市全域が商圏になったのです。東札幌は市の中心部でどこに行くにも便利です。一度宅配で買っていただいたお客様がどんな店なのかと思ってくださって来店してくれる。その輪が広がった成果が一店舗当たりの売上が年間11億円を超え日本一になった要因だと思います。ただ、最終的には売り方ではなく、いかにおいしいケーキを作るかという味です。パティシエは自分で作り自分で評価するためどうしても自分に甘く妥協する。私は自分で作ることができない故に味に対して妥協しません。手作りはもちろんのこと食材に対してもこだわっています。
スイーツ王国さっぽろ
食糧危機が叫ばれて久しい日本の中でも北海道は、自給率200%を超え農業には最も適した地域です。これからは素晴らしい素材に付加価値をつけていく必要があります。ケーキは、小麦・ビート・乳製品はじめ農産物を加工する代表選手です。そんな恵まれた大地からスイーツ王国さっぽろを提唱し活動が始まりました。ヨーロッパに似た気候風土を持ち、鮮度がよく安心で安全な食材がある。札幌ほどお菓子の似合う街はありません。スイーツ王国さっぽろではグランプリ作品のレシピを公開しています。連携と競争は真似ではなく向上がテーマです。前向きに活用することでレベルアップにつながり、おいしいものを様々なところで提供することがマーケットの拡大につながります。いずれはパリのシャンゼリゼ通りのように駅前通りも整備し直し、人が歩いて楽しい街になり疲れたら気楽にカフェで休息しおいしいケーキが食べられる場所になってもらいたいと願っています。
社会貢献活動
今回、札幌市が行っている基金に「南郷通り」の売上の1%を寄付することに決めました。この商品は創業から販売しているクッキーであり商品名にも地域の名前を付けていることから感謝の気持ちを込めてささやかではありますが自分たちが出来ることをやろうと思い始めました。その他にもプリンの瓶を回収したり牛乳パックの紙の再利用など環境にやさしい活動も行っています。購入したお客様の声を聞いていると、さまざまな提案があります。瓶がもったいない、再利用してほしい、廃棄処分はやるせないなどのご意見から再利用含めた検討や調査をし、衛生面から最終的な決断をして瓶の回収を始めたことをはじめアイデアには枚挙にいとまがありません。
今年1月から、長沼塾というミーティングを社員・パートの希望者から募り月1回実施しています。時間外にネクタイを外し役職も年齢も関係なく議論をします。その中で「きのとやが出来る社会貢献は何か?」というテーマの結論は環境でした。店舗から出るごみをどうやってゼロにするかなど社員のみんなとエコに挑戦していきたいと思っています。
夢の続き
札幌で生まれ、育ち、何よりもこの街が大好きです。 お菓子のパティシエは、みんなパリに勉強に行きます。私が生きている間はできないかもしれませんが、世界中から札幌に修行に集まる札幌のコンテストに優勝すると名声が得られる、世界中で一番おいしいお菓子が食べられるまち。そんなスイーツの街にしたいなぁと思っています。そのためには長い年月をかけて土台作りが必要です。お菓子屋さんになりたいという若者が働ける職場が多く受け入れる器も増やしていかなくてはならない。そして何よりも一番大切なのは地元の人に知ってもらい、食べてもらい、幸せな気持ちになってもらうということ。街の人に愛されることが私たちの永遠のテーマです。

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