本年、(社)札幌青年会議所は創立60周年という記念の年を迎えた。戦後荒廃したまちの復興を目指して27名の若者が未来の札幌のために立上って出来た組織だ。これまでの主な事業としては芸術の森・JR鉄道高架の提唱やコンサドーレの誘致が有名だ。来年、世界各国のメンバーを集めて国際交流とグローバルリーダーを育成する事業「JCI 国際アカデミー」の誘致を獲得した社団法人札幌青年会議所第60代理事長の北嶋仁氏に話を聞いた。
東日本震災を経験して
60周年の今年、当初は記念事業のメインとして円山動物園に象を呼ぼうというのを柱においていました。しかし、3月11日に東日本大震災が起き状況は一変しました。当日、あの時間に私たちは国際アカデミーの誘致のため東京で開催されていた青年会議所(以下JC)の会議に参加していました。私たちの会場も大きな揺れにあい、東京でも交通網が全て寸断され都市機能を失いました。「ただ事ではない。今、この震災に立ち向かうことが我々の責務だ。そうしなければ自分たちはJCごっこをしているに過ぎない」と思い、その後の事業は震災に特化したものにシフトしました。
14日にJC独自の口座を開き募金活動を開始。17日には政府より早く、一番不足していた燃料をタンクローリーに4,000ℓ積んで現地に運びました。何度か現地に足を運ぶうちに被害の範囲の広さから、支援先を一か所に絞ることにしました。選定先は街にJCがなく、行政などの手が足りないため孤立した感があった岩手県の山田町に決めました。JCの組織を3つに分け現地人的支援グループが山田町を担当しました。活動していくうちにJCが瓦礫撤去を継続することが果たして有効なのかと疑問の声が上がり始めました。JCらしく子どもの笑顔を取り戻そうと考え、町とも打合せしながら5月の子どもの日にイベントをやることにしました。現地との情報交換がままならない中、本当に良いのか手探り状態でしたが決行することにしました。縁日形式でテントを張り、ジンギスカンやチャンチャン焼き、フランクやとうきびといった北海道らしい食材を振舞い、さらには輪投げや綿あめといった子どもたちが喜んでくれるような催しをしました。計画の段階でよさこいチームや吉本興業さんがボランティアでやらせてほしいという依頼があり踊りや漫才も披露することになりました。2日間で2,300人の方にお越しいただき喜んでいただけたのではないかと思っています。そんな中、会場内で「お前、生きていたのか!」と何組も再開する姿を目の当たりにすると心底やってよかったと思えた瞬間でした。私たちは、当然戦争直後の悲惨な状況は知りません。しかし、この東日本震災の光景は同じものに思えてなりません。JCを創設した先輩たちが復興に立上ったと同じように、自分たちも知恵と勇気と情熱を持って行動していくことが若者の責務だと決意する出来事になりました。
創立60周年
7月から通常の事業を主体とした取り組みに転換しました。私はJCの存在価値は行政と市民、企業やNPOなどと人をつなぐ仲介役だと思っています。その一つの成果として2月に札幌市とパートナーシップ協定を締結。具体的な活動内容としては市長選での公開討論会をはじめ市民討議会を実施しました。より多くの市民の声をお聞きしながら自分たちが理想とする街づくりを実践していく。そのためには単に提言だけにとどまらず、どう反映されたのかといったフィードバックが必要です。現在は、内容をJCのホームページに載せていますので市民の方々にチェックしていただき、ともに私たちが住む札幌をより良い街にしていきたいと考えています。
JCは60年におよぶ歴史があります。そのため我々自身が過去の歴史観をきっちりと学ばなくては未来どころか現在やるべきこともおぼつかなくなってしまいます。過去を検証し、現在の問題点や課題を浮き彫りにしたうえで、未来に向けた活動をしていくのが青年会議所の使命です。一つの集大成として10月23日に記念フォーラムを開催します。講師には日本で100万部を超える大ベストセラーになった「7つの習慣」のジェームス・スキナー氏を招きました。震災を経て、今リーダーとして求められている役割や行動といった、いつの時代であっても変わらない普遍の志を札幌から発信し、日本再生への足掛かりにしていきたいと考えています。参加無料でどなたでも聴講できますので、是非お申込みください。

自立した北海道の創造
来年私は、JC北海道地区の会長に任命されました。北海道の持っているポテンシャルはものすごく高い。全道大会を行う稚内は、風力発電の「エネルギー」で90%まかなっている先進地域です。「食糧」を見ても自給率200%以上は北海道だけ。来年は、この二つの大きなテーマを柱に「真に自立した北海道」となるために、今私たちは何をしなくてはならないのか、責任と自覚にもとづいた議論と行動に移す時と位置づけています。原子力発電やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)など避けては通れない問題を直視し、是非を問い、持続可能な社会の実現を目指して新たな一歩を踏み出す。北海道から日本全体へムーブメントを巻き起こす運動を展開していきます。そのためには私たち一人ひとりが己と向き合い、地域は自分たちで創るという強い決意と変革の能動者たらんとする行動を求められているのです。

社団法人 札幌青年会議所ホームページ
http://www.sapporo-jc.or.jp/