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地域と共に生きる町の本屋さん(株)くすみ書房社長 久住邦晴氏 

読売センター新さっぽろ

 

近野
 
 

 
 

鈴木

 



 

地域と共に生きる町の本屋さん(株)くすみ書房社長 久住邦晴氏 

2010/05/07

 2010年の今年は、国民読書年。しかし、政府が主導となって取組んでいるこの施策は余り知られていない。これまでに「なぜだ、売りない文庫フェア」や「本屋のおやじのおせっかい、中学生はこれを読め」など数々のアイデアで町の本屋さんの闘いを繰り広げてきた北海道書店業組合理事長で(株)くすみ書房代表取締役社長久住邦晴氏に話を聞いた。
 

琴似から大谷地へ
  二大看板は変わらずに

 昨年の9月30日に琴似から大谷地に移転してリニューアルオープンしました。地下鉄が宮の沢まで延長したことにより琴似の人の流れは大きく変わってしまい、地盤沈下が激しくなってきました。その影響で、本を買ってくれるお客様がどんどん減り続け、努力しても努力の甲斐がないほど売上も落ちてきた。現状もかなり厳しいけど、将来はもっと期待できない。そんな時に大谷地のキャポに移転しないかと話を持ちかけられました。この施設は、地下鉄直結でかつ建物内で全てが完結できることに非常に魅力を感じました。私は商売の原点は人だと思っています。その人を集める決定的な方法は、人が多く集まる所に来ること。人がいるところに来て、自分のアイデアでさらに集める。人の多さが、今回の移転を決めた最大のポイントでした。



 実際に大谷地に来てみると、予想を上回る3倍の人が動いているのを見てびっくりしました。琴似に比べると店舗面積も1.5倍、それに伴い売上も2倍以上になり、手ごたえを感じました。1階は雑誌、コミックを中心に、2階に琴似の店をそのまま持って来るというコンセプトにしました。私どもの二枚看板である、中学生の棚は琴似で使っていたものをそのまま持ってきました。親子のお客さんが「中学生はここだ!」と大きな声で寄ってくれる姿を何度も見て、うれしく思いました。普通本屋では売上トップは雑誌類と相場が決まっていますが、初日一番売れたのは文庫だったのを見て、傾向の違いにびっくりしました。さらにオープン当初、歴史書フェアを出版社に言われてやりました。レベルの高い専門書ばかりで私も売れないだろうと思ったのですが、これが当たって再度びっくり。一時は、ジュンク堂さんより売上があり町の本屋でも売れるんだと思いました。大谷地地区の知的レベルの高さを表しているエピソードをさらに一つ。初日に年配の男性が雑誌を購入した際に「くすみが来ると聞いたので他に予約しないで待っていた」と言って加藤周一全集を予約されたのです。非常に難しい本で専門的です。琴似では、規模の割にレベルの高い書店でやっていたことを最初から大谷地で受け入れていただき、本当に感謝しています。


 
 
 琴似駅が通過点になり、人の流れが減ったことで売り上げが激減。その時に思い切って発想の転換をしました。売上を目指すのではなく、人を集めることに力を注ごう。そう考えると、全く視点が変わります。誰もやらない、面白いことは何か?そうだ、売れない本を集めれば、日本中でうちだけに違いない。話題性があって人も集められると考えやりました。マスコミにも大々的に取り上げられて、「なぜだ、売れない文庫フェア」は一躍大きな話題となり逆に売れたんです。「本屋のおやじのおせっかい。中学生はこれを読め!」も発想は同じです。中学生の世代は、もっとも本を読まない。そのため中学生向きの本もないし棚もない。売れなくてもいいから、中学生に読んでほしい本を「あれ読め、これ読め」とうるさく言って紹介する。子どもをきちっとした大人にするために本屋にでも出来ることは何かと考えてやったら、たまたま当たった。






国民読書年と町の本屋の使命

 国会決議までして国民読書年を制定したのに、業界の動きが悪く今の所何も打ち出せていないのが現状ではないでしょうか?そうであれば、北海道から発信していこうと思い、この夏から「高校生はこれを読め」を道内全域で展開していこうと取り組みを始めました。北海道中の高校と市町村・大学の図書館にアンケートを出し、高校生に読んでもらいたい本を聞いています。集まった中から、書店・大学に500冊を選んでもらって、フェアを大々的に開催します。これらの取り組みは全国でも例がないですし、まさに国民読書年として新鮮にアピールできるものと期待しています。さらに大きなイベントとなるように文字活字文化推進機構の会長である資生堂の福原氏に働きかけをしていくことが北海道書店業組合の理事長である私の仕事でもあります。



 時代が変わり、パソコンや携帯さらには電子ブックも出てきました。その中で町の本屋として、将来とも生き延びるために何をしなくてはならないか問われていると思います。そのために絶えず色々な話題・情報を提供していくことが大切です。大谷地でも定期的に子どもに本の読み聞かせをやったり、高校や大学のイベントに参加したりと徐々に交流も始めました。くすみ書房の取り組みが成功するかどうかが全国でも注目されています。地域と共に生きる町の本屋を創ることが、業界にも読者にも貢献できることと捉えてこれからも挑戦し続けます。





くすみ書房
■住所:札幌市厚別区大谷地東3-3-20 CAPO大谷地(地下鉄東西線大谷地駅隣接)
■電話:011-890-0008
■FAX:011-890-0015
■営業時間:10:00~21:00 年中無休


 


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