4月。新入生の背中には、自分の体よりちょっぴり大きめの真新しいランドセル。どんなにつらく厳しい時でも子どもたちの笑顔と元気な姿が勇気を与える。地域に根差した教育をまちに住む人と一緒になって取り組んでいる歴史ある小学校。未来を担う子どもたちの笑顔が溢れる学校作りをすることが自分たちの責務という上野幌小学校中秋校長と教務主任の鷲足先生に話を聞いた。
地域の人は大応援団
上野幌小学校は厚別区では3番目に歴史が古く、今年で112年を迎える学校です。そのためこの学校に親子3代にわたって通ったという方々が「おらがまちの学校」として体も動かし、関心も高い大応援団として支えてくれています。札幌副都心として栄えた昭和63年には1300人を超えるマンモス校という時代もありましたが、現在では新入生26人を迎えた全校児童190名の小規模校になっています。保護者も熱心な方が多くPTA・町内会・地区センター・そして学校の4者が一体となった活動を行っています。具体的には地域連携事業として「ふれあい花壇」や敷地内で畑を作っています。担任一人と子どもだけでは畑を耕すのもままなりません。そのため町内会から10名以上の方が協力してくれ、中にはトラクターまで持ち込んでくれる人も。種を植えるのは、双葉会という老人会のご協力をいただきます。花の手入れは、子どもたちだけでは難しいので、保護者が花ボランティアとして子どもと一緒になって活動をしてくれています。秋の収穫祭には、双葉会の方を招いて学校のランチルームで大切に育てた食材を使った料理を一緒に食べたり、育つまでの過程を劇にしたりとお手伝いいただいた方々に感謝の気持ちを伝えています。
新たな歴史に向かって
一昨年110周年記念として教育実践発表会を行いました。本校では「共に学ぶ子の育成」をテーマに思いやりや挨拶の出来る子どもの育成に力を入れています。発表会での研究をもとに今年度の重点方針として5つの方針をたてました。
① 読書活動の充実
朝、授業開始前の10分間に月曜から木曜までは読書の時間に充てています。昨年は1回、今年は2回の計画で先生たち自らが演出した読み聞かせのイベントを校舎内で行います。選ぶ本に合わせて場内を暗く設営するなど先生の味が出て、子どもも大人も楽しめる内容です。PTAも図書ボランティアして役割を担っており、読み聞かせを月一回1年間にわたってそれぞれの教室で行います。さらに、そのボランティアの方が大型絵本や人形劇を出前読み聞かせと称して年一回実施しています。そして、金曜日はこれまで計算ドリルを行ってきましたが、基礎的な力はついたことから書き取りに変更します。学年によって内容は異なりますが、継続して取り組むことで学習の力がつくと思っています。
②見とりの充実
教育界独特の言い回しですが、子どもの様子をつぶさに見て観察することを見とりと言います。小さい学校だからこそ、一人ひとりの名前を憶え、性格や行動など成長の度合いを担任だけにとどまらず、すべての職員が関心を持って見ていく。小規模校の利点を最大限に発揮することが我々に求められています。
③通知表の改訂
通知表は人の姿を人に伝えるということから、温かさが求められます。これまでずっと手書きで作成してきましたが、今年度からパソコンを活用して作成することにしました。通知表以外の仕事では、年々パソコンを活用することが増えています。通知表にもパソコンを活用することにより、情報を管理し、蓄積していくことで指導に生かしていくことができるという良さがあります。パソコンで作成した通知表を実際に手にすると、これまでとの比較から違和感をもたれる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、我々はこれまで以上に温かみのある表記を心がけ、手にした子どもも保護者も励みになるような通知表にしたいと考えております。ご理解を賜りたいと思っています。
④ 新たな取り組み
5年生を対象に7月に芸術の森に行って、実際に陶芸に携わるハローミュージアムという体験学習を計画しています。本年4月から新学習指導要領が始まり、これまでのカリキュラムは大幅に変更していかなくてはなりません。教育活動を進めながらその都度評価を行い、改善していく柔軟な対応が大切だと思います。
⑤ルールの見直し
本校は、一学年一クラスしかないので学年のバラつきが目につきます。ある学年では許されたりしていることが他ではダメというのは、教育上でも問題があります。落ち着きある学校生活を送るために全校で統一して行うべきことを見つめ直しているところです。決して難しいテーマではなく「時間」や「持ち物」といった基本的な所をやっていこうということです。

挨拶は教育の基本
本校では、気持ちの良い挨拶ができるということに力を入れています。地域に根差した学校であるからこそ、学校内にとどまらず町内をはじめ様々な方々と挨拶をすることが大切です。教育は、学校だけで完結するというわけではありません。家庭はもちろんのこと、子どもたちと携わる全ての人々と連携していくことが出来て初めて成り立っていくと思います。未来を担う子どもたちを社会全体が育てていく。そのために我々は、まちに住んでいる多くの方から信頼され応援したくなるような学校作りを常に心がけていく必要があります。
